半導体

半導体の仕掛け

太陽電池は電子に光エネルギーを吸収させて、半導体を使った仕掛けでエネルギーを持った電子を外部に取り出します。
その半導体の仕掛けを少しだけ専門的に解説します。

半導体とは

半導体とは、条件によって電気を通したり通さなかったりする物質です。
この半導体にはn型半導体と、p型半導体の2種類があります。
太陽電池は基本的に、このn型とp型の半導体を積み重ねた構造をしています。
n型の半導体は動きやすい電子(伝導電子)がやや多目で、接触した物質に電子が逃げ出しやすくなっています。
逆にp型の半導体は伝導電子がやや少なめで、電子が足りない場所(正孔)を持っています。

接合

この2つを接合すると、n型半導体からp型半導体へと伝導電子が逃げ出して、正孔と打ち消し合います。
電子が逃げ出した後のn型半導体は、電子が足りなくなってプラスに帯電します。
同様に、余分に電子をもらったp型半導体はマイナスに帯電します。
このため、接合部分に電界(内部電界)が生じます。
内部電界はn型半導体から逃げ出そうとする電子の流れを妨げるように働き、n型からp型へ電子が流れようとする力と釣り合った所で安定します。
接合部分では、電子と正孔が結びついた状態で動けなくなっていますが、そこには常に内部電界が働いています。
伝導電子があれば、電界によってn型半導体へと押し流される状態です。

光のエネルギー

この接合部分の半導体に光が当たると、光のエネルギーによって半導体に新たに伝導電子と正孔が励起されます。
内部電界に導かれて伝導電子はn型半導体へ、正孔はp型半導体へと移動します。
その結果、電子を外部へ押し出す力、起電力が生まれます。
起電力は光を当てている間持続して発生し、次々に電子が押し出されることで外部の電気回路に電力が供給されます。
押し出された電子は外部の電気回路を通じてp型半導体の側へ戻り、正孔と結合します。
つまり太陽電池の仕組みは、光のエネルギーを使い半導体の内部で動きやすい電子を新たに発生させ、半導体のpn接合の性質を用い、 伝導電子がエネルギーを失わないうちに一方向に集めて取り出す、ということなのです。